インスタ映えの定番、多重露光。アプリや画像加工アプリの普及により、簡単にできるようになり、多くのデジタルカメラでは多重露光機能があります。しかし、この撮影方法はフィルム時代からあります。フィルムのやり方を理解すれば、もっとカッコいい多重露光が撮れます。

多重露光

多重露光、二重露光、多重露出、呼び方は様々です。簡単に説明すると、二枚以上の写真の写りが重なり、一枚にしたものです。プリント写真に例えると、白紙に写真を印刷して、その紙をもう一回プリンターにセットし、その上に別の物を印刷したと説明するとわかりやすいだと思います。

プリントを重ねるという説明をしましたが、実際のやり方は違います。最初から印刷する物自体が重ねっていると思ってください。

フィルムの時代、一枚の写真を撮ってから、フィルムを送らずに、その同じコマにさらにもう一枚を撮るという手法を使っていました。その方法で、両方の写真の彩度等が落ち、半透明になったかのようなものになります。

昔のフィルムカメラでは、一回シャッターを押すと、フィルムを送らないと二回目シャッターを押そうとしても、ロックがかかっていました。その時、フィルムを巻き戻すボタンを押し、フィルムを解放し、シャッターを二回押すことができました。ただ、フィルムを開放することにより、カメラの中のフィルムが緩んでしまい、完璧に露出を重ねることが難しいでした。一方、多重露光は昔から親しまれ、カメラの進化に伴い、多重露光の機能を持ったフィルムカメラが現れました。これにより、完璧に露出を重ねることができ、二回や三回も重ねることができる様になりました。

時代が進み、デジタル化により、パソコン等で多重露光の加工ができるようなソフトが現れました。それだけではなく、デジタルカメラ内にそのような処理ができる機能を持つカメラも現れました。現在、多くのカメラはその機能を持っています。

得にオールドレンズ界でよく使われているミラーレース機には、多重露光の機能を搭載されているカメラが多いです。ミラーレス機には、様々なアートフィルターがあり、多重露光も芸術的な写真の代表であるため、多くのメーカーはカメラ内で加工処理できるようにしています。

加工ソフトとカメラ搭載機能の違い

もちろん、Photoshopのような加工ソフトで多重露光処理を行うと、直接カメラでやるよりキレイに仕上がります。加工ソフトを使うと、細かい部分を消したり、目立たせたい部分をより強調したりすることができます。

カメラの多重露光はもっとシンプルで、二つの画像を半透明にして重ね、それを表示させます。多重露光でよくみられる、一人の人物が同じ写真の二か所に写せる方法があります。カメラの多重露光機能を使うと、両方とも半透明になり、化けものようになります。

次の例を見ましょう。

ポケモンのピッピでやってみました。まずはピッピを構図の右側に置いてシャッターを押しました。カメラの位置や構図を変えずに、ピッピちゃんを左側に移動して、二回目シャッターを押しました。そうすると、二枚分の写真が重ね、ピッピちゃんが2匹いるかのような写真になります。

しかし、この様な処理を行うため、カメラは両方の写真を完全に重ねる。一目のシャッターを押した時に、ピッピちゃんは右側にいましたが、左側に床が写っています。2回目の時には反対になります。そして、2枚重ねることにより、床の部分とピッピ君が混ざり、透明になったかのような結果になりました。

加工ソフトを使うと、2枚の写真の半分を切り取り、ピッピ君の写っている方を残し合わせるとこのような問題が解決できます。

もちろん、フィルム写真の場合、単にフィルムコマを送らずに二回シャッターを押すだけで同じ問題が発生します。

狙った写真により、このような結果をあえて出したいときもありますが、ピッピちゃんを2匹にする多重露光には、この方法は使えません。

【広告】

多重露光のアレンジ

では、フィルム時代、どのように多重露光を行っていたのでしょうか?上のピッピちゃんを2匹にする写真をキレイにする事例で説明します。まず、ピッピちゃんを構図の右側に置きます。シャッターを押す前に、レンズの左半分から光が入らないように、何らかの方法で防ぎます。例えば、厚紙を当てたり、半分に切ったレンズのフロントキャップを被せたりします。一回目のシャッターを押して、ピッピちゃんを構図の左側に移動し、シャッターを2回目押す前に、今度はレンズの右側から光が入らないように防ぎます。

事実上、二重露光かいえるかは微妙です。一つのコマに半々に分けて使っていると考えた方が正しいかもしれません。ただ、細かいところを置いといて、結果を見ましょう。

今度は、ピッピちゃんと重ねて床の部分が写っていませんので、透明になる問題が解決されました。ところで、ここで上げている作例はデジタルカメラの多重露光機能を使っています。フィルムカメラでもないし、加工ソフトも使っていません。

では、もう少し具体的に撮影方法を紹介しましょう。まずは必要なものから。

必要なもの

前回のカスタマイズボケフィルターとほぼ同じものです。

  • 画用紙(黒色か厚みのあるもの)
  • 明るいレンズ(f値の小さいレンズだと、レンズの半分を紙で被せるのが大変ですが、可能です)
  • レンズに合ったフィルター
  • ハサミ、コンパス等

まずは画用紙をフィルターサイズと同じ円形に切ります。その円形を半分に切り、フィルターに当てます。

【参考記事:カスタマイズボケで光の遊び!

撮影方法

フィルターをレンズに付けます。上記の作例だと、一回目のシャッターを押してから、画用紙をフィルターの反対側に移動し(フィルターを緩んで回すのもOK)、2回目シャッターを押します。

正直、ここまで準備する必要はないかもしれません。画用紙等でレンズの半分を隠せればできますが…

さらに遊びましょう!

トップの画像と次の画像を見ましょう。

各作例では、カピバラ君とピッピちゃんがテレポートしながら消えていくかのような感じになっています。こちらの撮り方は上の作例とほぼ同じです。

まず被写体のいる写真を一枚撮ります。その後、被写体を構図から外し、レンズの半分を隠します。記事のトップ画像と上の作例では斜め左上の部分を画用紙で隠しました。そして、シャッターを2回目押します。それだけでこのような面白い写真が撮れます。

フィルム時代は今回説明した方法で多重露光の写真を撮られていたそうです。こちらの記事に使った作例はデジタルカメラで撮りましたが、単に二枚の画像を重ねるより、ちょっとした工夫、つまり、昔の方法でやることにより、もっといい結果が得られました。

単色な背景

デジタルカメラでの多重露光撮影の時、背景が単色(得に黒い)だとよりキレイに仕上がります。黒い背景の場合、最終的に出力する画像データが多少暗くなりますが、最初の作例のように、被写体が透明になる問題がほぼなくなります。写真を印刷したり、インターネットにあげる前、明るく補整すればすぐ直せます。

ところで、この方法は花火の写真で多く使われています。一枚の写真の空に何玉分の花火が写っている場合、あれは同時ではなく、別々の瞬間の物を多重露光で仕上げているかもしれません。

【広告】

スマホ・アプリの活用

カメラに多重露光の機能がありません。パソコンにもPhotoshop等がありません。諦めるしかないみたいですね…ちょっと待って!諦めるにはまだ早いです!(通販番組っぽくなりました…)

スマホでも多重露光ができます。アプリを検索するとたくさん出てきます。優れたものがたくさんあり、写真加工の経験がなくても簡単にできます。スマホだと、画像の回転等もできて場合により、上で紹介した加工方法よりさらに面白いものができます。

管理人はスマホ(iPhone7)に「Pixlr」というアプリをインストールしています。無料アプリにもかかわらず、画像のレタッチに使える機能や、多重露光、コラージュ等ができます。本当に優れていて、おすすめです。

では、Pixlrでどんな多重露光できるかを参考に作例をあげます。

まず、用意したのは下の二枚の画像です。昨年の10月に撮った満月と先週、岡本梅林公園で撮った梅の花の二枚です。

【参考記事:岡本梅林公園撮影・2018年3月開花情報

ベースになる画像は、上の梅の画像のように明るめのものだとやりやすいだと思います。そして、上に重なるもう一枚の画像は、明るい部分と暗い部分がはっきりしているものを用意すると、加工が上手くいきます。今回の作例では、上の満月の写真のように、構図をあまり気にしなくても大丈夫です。梅の花の画像に重ねる時、月の部分だけ利用します。

そして、二つの画像を重ねると、出来上がりです。調整が必要であれば、上に重なった画像を消しゴムで消したり、コントラスト等を調整するとより面白い結果が得られます。

月のクレーターと背景のボケている梅が重ね、光っているかのように見えます。

ぜひアプリも活用して、色々試してみてください。

【広告】