オールドレンズ販売のお店紹介を書き続けていたため、久しぶりのオールドレンズレビューになります。今回はオールドレンズでありながら、オールドレンズではないものをご紹介します。本記事のタイトル通り、ブログで初の引き伸ばしレンズ紹介です。

引き伸ばしレンズとは?

モノクロフィルム写真時代には、フィルムから紙に撮った像を写す際に暗室で引き伸ばしという機会が利用されていました。その機会はフィルムを電球で照らし、光はその機会の特別なレンズを通して、紙に大きく写し、小さなフィルムの画像を正確に大きな印画紙に拡大し焼き付けるような作業が行っていました。

その引き伸ばし機に利用されていたフィルムが今回の引き伸ばしレンズです。上記に述べたように、小さなフィルムの情報を正確に拡大するにあたり、それなりに繊細なレンズが必要になっていました。国内のものだとNikkonのEL-Nikkor、富士フィルムのFujinon-EX等が有名です(50mmや75mmがあり、カメラレンズとして利用しやすいのは75mmでしょう)。

残念ながら、デジタル化やスマホ普及により、多くの写真屋さんがつぶれています。そこで、昔利用されていた引き伸ばしレンズが中古カメラ屋さんで販売するようになりました。場合により、ジャンク扱いされることもあって、状態のいいものでも3000円~5000円で入手可能になっています。もちろん、ネットオークションでも多く出品されています。

非常に繊細な描写を持つように設計された引き伸ばしレンズを、カメラレンズとして使われるようになりました。今回はデジタルカメラでの使い方と数多くあるレンズの中のFujinon-ES f4.5 75mmレビューを届けします。

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必要なもの・装着方法

まずは、どうして引き伸ばし機に利用されていたレンズをデジタルカメラで使おうと思うかを検討しましょう。

上記に述べたように、その繊細な写りを活かしたいという気持ちが第一の理由でしょう。

さらに引き伸ばしレンズには、多くのカメラレンズと同じく、絞り機能があります。今回ご紹介するレンズは8枚の絞り羽で開放f4.5から最小絞りf22まで絞りをコントロールすることができます。

ただ、引き伸ばしレンズにはピントを合わせる機能がありません。引き伸ばし機は上下に動かして、フィルムから印画紙に写す「画像」を拡大したり、ピント合わせしたりします。そこはヘリコイド付きマウントアダプターを利用すれば、クリアーできます。

最後に、引き伸ばし機に引き伸ばしレンズを装着する際、レンズにあるスクリューを回して固定するのですが、そのスクリューがM39/L39と同じ規格で、各アダプターを利用するれば、簡単にカメラにも装着することができます。

一方、普通にM39のマウントアダプターを利用するだけで、フランジバックの関係であまり実用性がないく、無限遠もでません。

そこで、一般的に利用されているのは、M42のマウントアダプターとエクステーションチューブまたはヘリコイド付きマウントアダプター等とそれにレンズを付けるためにM39/M42変換リングでカメラに装着します。今回、管理人が用意したのは、下記のアクセサリーです。

  • M42・M4/3マウントアダプター(Olympus EPL3で撮影)
  • M42レンズ焦点距離調整式ヘリコイド付きマクロチューブ(17mm~31mm)
  • エクステーションチューブ(9mm+16mm+30mm、セットで販売されている)
  • M39(L39)→M42スクリュー変換リング

なお、エクステーションチューブは必須ではありません。M42マウントアダプターとヘリコイド付きマクロチューブを合わせるだけで無限遠がでます。ただ、これだけだと被写体にあまり接近できないので、接近して撮影したいのでしたら、両方を組み合わせて使いましょう。

カメラの装着は非常に簡単で、下記の通りになります。

カメラ → M42マウントアダプター → ヘリコイド付きマクロチューブ → スクリュー変換リング → レンズ

エクステーションチューブを利用になられる場合はマクロチューブの前後どちらでもセットできますので、お好みの方法でセットしてください。

本レンズ紹介

冒頭に述べたように、本レンズの描写は非常に繊細です。一方、引き伸ばし機で利用されるように設計されたため、無限遠には若干弱い感じします。

コントラストは非常に控えめで、若干白っぽい写りになります。モノクロフィルムの現像に使われていたため、色合いを重視にされて設計しなかったと思われます。

レンズコーティングによる余計な色合いやコントラスト調整がなく、レンズだけの繊細な描写の部分を活かし、収差や変形がないため、被写体そのもののディテールを残して撮影ができます。

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撮影テスト

今回は窓からの太陽光のみを利用し、室内で撮影テストを行いました。カメラはEPL-3で、絞り優先(A)モード、ISO固定で撮影しました。三脚を利用し、なるべく被写体に接近しました。

開放(f4.5)

シャッタースピード:1/20
ISO感度:400
露出補整:+0.7

開放でも手前の黒柴のディテールがしっかりと写っています。黒い被写体でもそのディテールが見えます。その他ピントの合わない部分の被写体のボケが柔らかく、全くクセのない描写でやさしい仕上りになりました。

絞りf5.6

シャッタースピード:1/6
ISO感度:400
露出補整:+0.7

絞りをf8にセットすると、手前から奥に置いていた被写体が徐々に写ってきて、自然な流れになっています。無理やりに背景をボカす必要のない構図(例えば、小さいお花がたくさん咲いている構図等)で使いたいレンズです。

最小絞り(f22)

シャッタースピード:1.6秒
ISO感度:400
露出補整:+1.3

最初絞りでの撮影にしても、奥のシロクマが若干ボケているように見られます。白い背景の問題もあるかもしれませんが、こちらのレンズは無限遠だしても、現代レンズの手前から奥までのシャキッとした描写にはなりません。やはり、被写体に接近して撮影したいので、風景写真にはあまり向いてないかもしれません。一方、敢えてシャキッとしない写りで、オールドレンズっぽい撮影ができるため、風景写真の作例がネット上多く見かけます。

おまけ-マクロエクステーションチューブ利用

絞り:f4.5
シャッタースピード:
1/40
ISO感度:400
露出補整:+-0

最後にエクステーションチューブ3つ(計55mm)とマクロチューブを合わせて撮影してみました。この場合、被写体を明るくするため、iPhoneの懐中電灯機能を使いました。白っぽい仕上りになりましたが、黒柴に付着していた埃までくっきり写し出され、正直、恥ずかしいです…

レンズスペック

メーカー: Fuji Photo Optical Co.
マウント: M39
名称:Fujinon-ES f4.5 75mm
焦点距離: 75mm
開放F値: f4.5
最小絞り:f22
最短撮影距離: 約75cm?
ズーム: 無し
絞りリング: 有り
ピント合わせ: 無し
フォーマット: 引き伸ばしレンズ
フィルター径: 使用不可

管理人所有のレンズ

クリーニング:
状況: クリアー
シリアルナンバー: 134447

その他・作例

下記の作例は管理人Instagramに以前投稿したもので、昨年の秋、神戸市にある須磨離宮公園で撮影しました。各画像に多少の修正をかけています(Pixlr・スマホアプリ)。